買う前に見せられた収支表では毎月プラスだったのに、実際は通帳のお金が減っていく。中村は動画で、家賃と返済だけを見て支出をあいまいにしたまま契約すると、購入前に聞いていた手残りと違う結果になり、毎月の支払いが持ち出しになるおそれがあると話しています。
相談者家賃からローンの返済を引くと、毎月2万円のプラスだと説明されました。ただ、管理費や税金、修繕費はほとんど書かれていません。この数字を信じて大丈夫でしょうか。
当社のYouTubeチャンネルに届いた、契約前の方からの質問です。すでに買ってしまい「話が違う」と感じている方にとっても、どこでずれが生まれたのかを知る手がかりになります。
この記事では、代表の中村が動画で話した内容をもとに、収支表から抜けやすい支出と、今から確かめたいことをまとめます。
ミラスマチャンネル(YouTube)で、代表の中村が解説しています。
1収支表の黒字と、手元に残るお金がずれる理由
中村は動画で、販売資料の中には、家賃からローンの返済を引いた差額を手残りとして見せるものがあると話しています。そのうえで、販売会社が出す収支表がすべて間違っているわけではないとも話しています。
問題は、その数字がどんな前提で作られているかです。
宅建士 中村満室、家賃据え置き、大きな修繕なし。この前提で作られた数字を、自分の利益だと思ってしまうのは危険です。
中村は、家賃と返済の差額から、さらに次のようなお金が引かれていくと話しています。
また、入居者がずっと住み続けるわけではないので、空室のリスクも見込んでおくよう話しています。
ここがポイント
中村は、表面利回りはあくまで売上で、手残りする利益ではないと話しています。そこから経費と空室の分を引いていくと、自分の手残りが見えてくるという話です。
中村はまた、新しい物件は築年数がたつとともに家賃が下がっていく前提を持った方がよいと話しています。
中村が、収支表を見るときに見落とすと危険な支出として挙げたのは、次の5つです。
- 修繕費
- 共用部分の電気代・水道代
- 保険料と税金
- 入居者募集にかかる費用
- 事件・事故による空室
2見落としの1位は修繕費
宅建士 中村見落とす支出の圧倒的1位は修繕です。建物のことは、不動産屋でも見落とします。
中村が動画で、修繕にお金がかかる例として挙げた設備は次のとおりです。
- キュービクル(大きな電気の装置)
- 立体駐車場
- エレベーター
- 水道管
例:中村が手がけた物件では、キュービクルの入れ替え、水道管を銅管から塩ビ管に替える工事、エレベーターの修繕が重なり、その年は数千万円の赤字になりました。
中村はこれを「前向きの赤字」と話しています。建物がよくなる修繕だからです。
反対に中村が気をつけたいと話すのは、雨漏りした所だけを直すような部分的な補修をくり返して、そのたびに赤字が出ている物件です。
区分マンション(1室)を持っている場合、建物全体の修繕は管理組合の修繕積立金でまかないます。国土交通省の資料では、最初は積立額を低く抑えて段階的に引き上げる「段階増額積立方式」があり、計画どおりに引き上げないと積立金が不足するおそれがあるとされています。
買ったときの積立金の額が、ずっと続くとは限りません。
3共用部分の電気代・水道代が、思った以上にかかっていることがある
中村は、共用部分の水道代・電気代が毎月の運営で「やたらかかっている」ケースもあるので、購入前に毎月の額を調べておくよう話しています。インターネットの費用も、見ておく項目に挙げています。
中村は、こうした費用は少ないだろうと思って買うため、見落としがちだと話しています。
例:中村が見た物件では、共用部分の電気代と水道代が、使っている量に見合わないほど高くなっていました。調べると、オーナーが建物全体の電気代・水道代をまとめて払う形になっていました。
電気代・水道代が値上がりしたのに、入居者の負担分を昔の計算方法のまま据え置いていたため、値上がり分をオーナーがすべてかぶっていたのです。
このケースは計算方法を改められました。
4保険料・税金・募集の費用、そして空室の原因
修繕費と光熱費のほかに、中村が挙げた支出は次のとおりです。
- 保険料と税金:中村は、予測しやすい費用ではあるものの、見込んだうえで毎月の収支を計算することが大事だと話しています。固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者にかかります。
- 入居者募集にかかる費用:中村は、入居者を決める(客付け)ときの手数料も見ておく必要があると話しています。
- 事件・事故による空室:中村は、建物で起きた事件や事故を知らないでいると、空室になってコストになると話しています。
事件・事故について、中村は「その部屋だけでなく、隣の部屋や同じマンションで起きたことも、気にする入居者はいる」と話しています。
人の死に関する告知について、国土交通省のガイドラインでは、仲介をする不動産会社は、売主・貸主に告知書などへの記載を求めることで、通常の調査をしたものとされています。中村は動画で、仲介会社が該当の部屋のことは調べていても、隣の部屋のことまでは調べていないことがあると話しています。
5「空室0%」「家賃減額なし」と書かれていたら
中村は、販売資料に「空室率0%」「家賃減額なし」といった言葉があれば、疑ってかかった方がよいと話しています。こうした物件は、家賃保証やサブリース(業者が賃貸住宅を一括して借り上げ、入居者に転貸する仕組み)であることがあります。
「家賃保証」とされていても、家賃が下がらないとは限りません。借地借家法32条では、税金などの負担の増減や経済事情の変動、近くの似た建物の家賃との比較で家賃が不相当になったとき、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向けて家賃の増減を請求できるとされています。
国土交通省も、サブリースで家賃の減額をめぐるトラブルが起きているとして、注意を呼びかけています。
減額を求められても、話し合いがまとまらない場合は、最終的に裁判で額が決まる仕組みです。求められたその場で応じる前に、契約書の内容を確かめてください。
中村は動画で、サブリースの物件は売るのが大変で、業者から「こういうリフォームをしなさい」と言われるなどの制約もあると話しています。家賃の条件をのまないと契約を切ると言われ、言いなりになってしまうこともあるそうです。
6すでに買ってしまった方が、まず確かめたいこと
動画では、契約前のチェックとして次の3つが挙げられていました。
- 収支表を自分で作り直す
- 家賃の下落・空室・金利の上昇を見込む
- 数字の根拠を資料で確かめ、第三者に聞く
すでに買った方も、同じ考え方で今の収支を見直せます。
チェックしてみましょう
- 1年間の収支を自分で作り直す:管理会社からの収支報告や通帳をもとに、家賃の入金から返済・管理費・修繕費・税金・保険料・光熱費を引きます。わからない項目は「これは何の費用か」を一つずつ確かめます
- 共用部分の電気代・水道代(一棟の場合):毎月の請求額と、入居者の負担分の計算方法を確認します
- 修繕の予定:区分なら長期修繕計画と修繕積立金の引き上げ予定、一棟ならキュービクル・エレベーター・水道管などの交換時期を確認します
- 悪い条件が重なったとき:家賃が下がった・空室が出た・金利が上がったときに、毎月いくら足りなくなるかを試算します
- サブリース契約の場合:家賃の見直しの条件と、解約の条件を契約書で確認します
中村は、3つ目の「第三者に聞く」が一番大事かもしれないと話しています。自分で作り直した数字を、不動産投資にくわしい人に見てもらってください。
この記事のまとめ
- 中村は、「満室・家賃据え置き・大きな修繕なし」の前提で作られた数字を自分の利益だと思うのは危険だと話しています
- 中村が見落とすと危険な支出として挙げたのは、修繕費、共用部分の光熱費、保険料と税金、入居者募集の費用、事件・事故による空室です
- 「家賃保証」でも、家賃が不相当になったときは、借地借家法にもとづいて家賃の減額を求められることがあります
- 今の収支を自分で作り直し、数字の根拠を第三者に見てもらいましょう
収支を一人で整理するのが難しい場合や、「話が違う」と感じている場合は、ご相談ください。ご相談は無料で、匿名でも受け付けています。不動産投資のトラブルを専門にする宅建士が、顧問弁護士・顧問税理士と連携して、状況の整理からお手伝いします。