マッチングアプリで知り合った相手に勧められて、不動産投資を始めてしまった。そんな方に向けて、借金が膨らんだ実際の例と、今から確かめたいことをまとめます。
相談者マッチングアプリで出会った男性に紹介された不動産会社を信じて、物件を3つ買いました。住宅ローンの使い方の違反がわかり、一括返済を求められています。
これは、当社のYouTubeチャンネルで代表の中村が話した、実際の相談の例です。年収600万円の方が、1億円の借金を抱えることになりました。
中村によると、同じような相談はその後も2件ありました。マッチングアプリのほか、飲み屋で隣に座った人から熱心に勧められたケースもあったそうです。
ミラスマチャンネル(YouTube)で、代表の中村が解説しています。
1マッチングアプリの紹介で買った物件が、危ない理由
相談者の女性は、結婚相手を探してマッチングアプリを使っていました。そこで出会った男性から「女の子でも今は資産形成をする時代だよ」と言われ、紹介された不動産会社で物件を買います。
紹介した男性との関係は浅く、男性は不動産についても素人でした。中村は動画で、恋愛感情や好意があると警戒心が薄れ、判断がぼやけてしまうと話しています。
また中村は動画で、良い物件は勧める側が自分で欲しいものだとも話しています。中村自身も、付き合いの浅い人には良い物件を出さないそうです。
2年収600万円で、借金が1億円になった仕組み
不動産会社が勧めた物件は、次の3つでした。
- 1戸目:ワンルーム 約2,500万円(投資用のローン)
- 2戸目:ワンルーム 約2,500万円(投資用のローン)
- 3戸目:ファミリータイプ 約5,000万円(住宅ローン)
最初の2戸は、家賃から返済などを引くと、毎月1万5,000円ほどのマイナスでした。そこで勧められたのが、3戸目のファミリータイプです。
営業担当者の説明は「この物件は毎月プラス2万5,000円になる。これまでのマイナスを消せるので持ち出しがなくなり、持っておけば純資産1億円が達成できる」というものでした。
ここがポイント
中村によると、この方は2戸を買った時点で投資用のローンの枠を使い切っていましたが、住宅ローンの枠は残っていました。 3戸目は、その住宅ローンを使って買う前提で勧められていました。「プラスになる物件で赤字を消せる」という話の裏で、投資用には使えない住宅ローンが使われていたことになります。
3住宅ローン(フラット35)で投資物件を買うと、一括返済を求められる
3戸目で使われたのは、住宅ローンの「フラット35」でした。住宅金融支援機構はよくある質問で、次のように案内しています。
- 申し込んだ本人か、その親族が住む住宅のためのローンで、投資用の物件には使えない
- 人に貸すなど投資用に使っていることがわかった場合は、借りたお金の全額を一括で返すことになる
- 融資した住宅あてに転送されない郵便で残高証明書を送るなどして、住んでいるかを定期的に確かめている
相談者の女性は、住宅ローンと投資用のローンが別のものだと知りませんでした。「すぐ契約しないと間に合わない」と急かされ、並べられた書類に言われるまま署名しています。
その書類には「投資用には使わない」「この物件を人に貸さない」という内容が書かれていました。本人は読んでいなくても、署名はしてあります。
機構は、手続きを業者任せにしていても、虚偽の内容で融資を受けることは詐欺罪にあたり、本人が責任を問われると注意を呼びかけています。
中村によると、発覚のきっかけは郵便でした。住宅ローンの側から届く書面が、宛先に住んでいる人がいないとして戻ってしまったのです。
金融機関からは約5,000万円の一括返済を求められました。売ろうとして査定を出すと、結果は約3,500万円で、ローンの残りに大きく届きません。
3戸目の物件(例)一括返済を求められた額5000万円
査定額3500万円
売ってもローンが残る
複数の不動産会社に相談しても断られ、弁護士からは「破産しかない」と言われたそうです。中村自身も、最初は難しいと考えていました。
4投資用ではなく、住まいとして売り直す
中村が目を付けたのは間取りでした。他の2戸は1Kでしたが、3戸目は1LKです。1LKなら「自分で住みたい」という買い手が、もっと高く買ってくれるかもしれないと考えました。
中村は動画で、投資家は利回りで見るが、実際に住む人は「あ、いいかも」という感覚で決める、と話しています。
住まいとして売るために、中村は入居者に頭を下げ、引っ越しの費用はすべてこちらで持つと伝えて、退去をお願いしました。入居者は「そういう事情なら協力します」と応じてくれたそうです。
なお、貸主が更新を断ったり解約を申し入れたりするには「正当の事由」が必要で、立ち退きの条件として申し出たお金なども判断の材料になります(借地借家法28条)。
空室になったあとは、内装には手を入れずクリーニングだけを行いました。中村が自分で掃除に通い、写真も工夫して撮った結果、5,000万円近くで買い手がつき、ローンを返すことができたといいます。
これは1つの個別の結果で、同じように売れるとは限りません。
5すでに買ってしまった方が、まず確かめたいこと
紹介で買った物件に不安を感じたら、まず手元で次のことを確かめてください。
チェックしてみましょう
- 物件ごとのローンの種類:金銭消費貸借契約書を見て、住宅ローン(フラット35を含む)か投資用のローンかを、1つずつ確認します。
- 署名した書類の控え:「自分で住む」「人に貸さない」といった確認書がないかを見ます。
- 毎月の収支:家賃の入金から返済・管理費・修繕積立金を引き、物件ごとにいくら出ていっているかを通帳で確かめます。
- 紹介者・業者とのやり取り:アプリのメッセージ・LINE・メール・名刺を、画面の保存なども使って消さずに残します。
- 間取りと入居の状況:誰がどんな契約で住んでいるか、住まいとして売れそうな間取りかを整理します。
住宅金融支援機構は、フラット35を投資用に使ってしまった方に向けて連絡先を案内しています。金融機関や業者に連絡する前に、弁護士などの専門家に状況を整理してもらうことも考えてください。
この記事のまとめ
- 今回の例では、マッチングアプリで知り合った相手の紹介から、3つの物件を買うことになりました
- 投資用のローンの枠を使い切ったあと、住宅ローンで買わされる例があります
- フラット35で買った物件を人に貸していると、全額の一括返済を求められることがあります
- 今回の例では、1LKの間取りを生かして住まいとして売り直し、ローンを返すことができました(個別の結果です)
当社にも、マッチングアプリで知り合った男性に勧められて投資物件を買い、住宅ローン(フラット35)の不正利用がわかったというご相談が寄せられています。一人で抱え込まず、ご相談ください。不動産投資のトラブルを専門にする宅建士が、顧問弁護士・税理士と連携して、状況の整理からお手伝いします。ご相談は無料です。匿名でも相談でき、ご家族や職場に知られないよう連絡の方法にも配慮します。