「低金利で、国がやっているローンだから」と勧められ、住宅ローンで投資用のマンションを買ってしまった。そんな方に向けて、一括返済を求められる仕組みと、今から確かめたいことをまとめます。
相談者信頼していた先輩の紹介で知り合った営業担当者に勧められ、提案から23日で契約しました。「低金利で国がやっているローン」と言われ、住宅ローンで投資用のマンションを買っています。
これは、当社のYouTubeチャンネルで代表の中村が話した、実際の相談の例です。
この記事では動画の内容をもとに、なぜ一括返済を求められるのか、業者がどう勧めてくるのか、中村が関わった事例でどう解決したのかを整理します。
ミラスマチャンネル(YouTube)で、代表の中村が解説しています。
1住宅ローンで投資物件を買うと、なぜ一括返済を求められるのか
宅建士 中村住宅ローンは、住宅を買うためだけに使えるローンです。それで買った物件を、不動産投資に使ってはいけません。
動画で取り上げているフラット35について、住宅金融支援機構はよくある質問で次のように案内しています。
- 申し込んだ本人か、その親族が住む住宅の購入などに使えるローンである
- 第三者に貸すなど、投資用の物件を買うためには使えない
- 本人などが住まずに人に貸していることがわかった場合は、借りたお金の全額を一括で返すことになる
中村は動画で、たとえば5,000万円のローンが残っていても、短い期限で全額を返すよう求められると話しています。
ここがポイント
住んでいるかどうかは、買ったあとも確認されます。 機構は、融資した住宅あてに転送されない郵便で残高証明書を送るなどして、本人や親族が住んでいるかを定期的に確かめていると説明しています。
2「低金利で国のローン」という勧め方の裏側
なぜ、わざわざ住宅ローンを使わせるのでしょうか。中村は、住宅ローンの借りやすさを理由に挙げています。
中村は動画で、住宅ローンは諸費用も含めて全額を借りられるので借りやすく、投資用のローンで全額を借りるのは難しい、と話しています。中村が助けた方は、安い物件を高い値段で、住宅ローンを使って買わされていました。
宅建士 中村素人の方は、住宅ローンと投資用のローンがあることを知りません。本来は業者が説明するべきことで、そもそも勧めてはいけないものです。
中村は動画で、この手口は今もあり、フラット35以外の住宅ローンで同じことをしている人もいると話しています。
3「この物件を人に貸しません」という書類に署名している
中村が関わった事例では、契約書類の中に「この物件を賃貸しません」という覚書があり、本人が署名・押印していました。
本人からすれば、何枚もの書類に次々とサインした中の1枚にすぎません。この方も、あとになって「こんな書類があったのか」と驚いたといいます。
4急がせる、紹介で近づく、連絡が途絶える
この事例では、業者の勧め方に次のような特徴がありました。
- 契約を急がせる:提案から23日で契約しています。中村は動画で、親や周りの人に相談されると契約しなくなるおそれがあるため、考える時間を与えないように急がせる、と話しています。
- 信頼できる人の紹介で近づく:信頼していた先輩の紹介でした。営業担当者とは友人のような関係になり、LINEでも頻繁にやり取りしていました。
- 問題が出ると連絡が取れなくなる:住宅ローンの問題が見つかると、営業担当者とは連絡が取れなくなりました。名乗っていた名前も偽名だったことが、あとでわかりました。
中村は、この営業担当者が最初から身元を隠して近づいていたとみています。今「話が違う」と感じている方は、営業担当者とのやり取りを消さずに残しておいてください。
5事例:住宅として売り直したら、ローンを返せる金額になった
その後、この方がどうなったかをお話しします。中村が注目したのは、物件そのものの特徴でした。
物件は都内の駅に近いファミリータイプのマンションでした。安い家賃で貸していたため、収益物件として見ると高い値段はつきませんでした。一方で中村は、ファミリータイプなら「自分で住みたい」という買い手も出てくると考えました。
宅建士 中村収益物件として見たら値段がつかなくても、住宅として売ったらどうか。この視点です。
中村は、住んでいる方に事情を説明しました。
入居者の方は、引っ越し費用を出してもらえるなら協力すると応じてくれました。空室にして住宅として売れる見込みが立つと、売れる値段は収益物件として見た場合の約1.7倍になり、ローンを全額返せる金額に届いたといいます。
最終的には、物件を気に入っていた入居者の方が「このまま住み続けたい」と、自分で買うことになりました。今の家賃より、買ってローンを払う方が月々の支払いが下がるという試算を中村が示したことで、話がまとまったそうです。
この方は、同じ業者からリゾートマンションも買わされていました。こちらは契約書に明らかな不正が見つかったため、弁護士に依頼して裁判を起こし、物件代金に当たる金額の支払いを受けることができました。相手の業者に支払うお金が残っていたことも大きかった、と中村は話しています。
どちらも個別の事情による結果で、同じように解決できるとは限りません。
6すでに買ってしまった方が、まず確かめたいこと
住宅ローンで投資用の物件を買ってしまったかもしれないと感じたら、まず手元の書類で次のことを確かめてください。
チェックしてみましょう
- 借りているローンの種類:金銭消費貸借契約書やローンの名前を見て、住宅ローン(フラット35を含む)か、投資用のローンかを確認します。
- 署名した書類の控え:「自分で住む」「人に貸さない」といった確認書や覚書がないか、申込書にどう書かれているかを見ます。
- 今の入居状況:誰が、いつから、どんな契約で住んでいるのかを確認し、賃貸借契約書をそろえます。
- 住宅として売る場合の相場:同じマンションや近くの似た部屋が、住まいとしていくらで売り出されているかを調べます。
- 業者とのやり取りの記録:LINE・メール・名刺・パンフレットを消さずに保管します。
フラット35については、住宅金融支援機構が、投資用の物件を買うのに使ってしまった方に向けて連絡先を案内しています。一人で判断せず、弁護士などの専門家にも相談してください。
この記事のまとめ
- フラット35は本人や親族が住むためのローンで、人に貸していることがわかると、全額を一括で返すことになります
- 「低金利で国のローン」「急いで決めて」という勧め方は、立ち止まる合図です
- 事実と違う内容で融資を受けると、手続きを業者任せにしていても本人が責任を問われます
- 中村の事例では、物件の特徴に注目して住宅として売り直し、ローンを返せる金額になりました
当社にも、住宅ローン(フラット35)の不正利用が見つかり、金融機関から一括返済を求められたというご相談が寄せられています。一人で抱え込まず、ご相談ください。不動産投資のトラブルを専門にする宅建士が、顧問弁護士・税理士と連携して、状況の整理からお手伝いします。ご相談は無料で、匿名でもご相談いただけます。